福祉

介護休業制度

「介護で仕事の休みが取れるんですか?」そうです。出産や育児でお休みなさっている方がいるのと同じように「育児・介護休業法」という法律の中で介護でもお休みや給付を受ける仕組みがあります。注意するポイントがありますのでお伝えしていきたいと思います。

介護休業制度というものがあるよ

「育児・介護休業法」は、正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」という法律です。下記のものなどがあります。

介護休業制度

介護休業

対象家族一人につき3回まで通算93日まで休業できます。有期契約労働者(パート、アルバイト、派遣など)も一定の要件を満たせば取得できます。

短時間勤務

介護休暇

介護や通勤の付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネージャーとの打ち合わせなどを行うために、年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで、1日または数時間単位で休暇を取得できます。

残業の免除・制限

フレックス・時差出勤

介護休業制度を利用している人はどのくらい?

介護休業制度を利用しているのは1割

総務省の統計によりますと、自営業を除いた仕事をしながら家族の介護を行っている人は322万人います。そのうち、介護休業制度を利用しているのは37.2万人で、介護をしている人の11.6%が制度を利用していることになります。

介護休業制度の利用率は低く、約9割の方が制度を利用せず介護と仕事の両立をしているのが現状です。

介護離職者数は増加傾向

2023年の厚生労働省の雇用動向調査によりますと、介護や看護を理由に離職した人数の推移は右肩上がりに増加傾向にあり、女性の割合が多いです。

また、全離職者に対する介護離職者の割合も右肩上がりに増加傾向にあります。

「雇用動向調査」(厚生労働省)を基に「もえいずるままに」作成

いつから介護するの?

50代くらいからが多い印象

総務省の「令和4年(2022年)就業構造基本調査」によりますと、自営業を除いた企業に雇用されながら介護をする322万人のうち年代の内訳は、50代が42.4%と一番多く、次いで60代が24.4%となっています。

50代で介護と仕事の両立を求められるようです。

2025年4月から企業の義務になる

 2025年(令和7年)4月から介護離職防止のため、事業主から仕事と介護の両立の支援をするように義務化されます。具体的には以下の事柄です。

  • 介護に関する研修相談体制の整備
  • 介護が必要になったとの申し出のあった人に対して、どんな制度があるのか事業主側から情報提供し、今度どうしていきたいかを確認する
  • 40歳から介護に関する情報提供を行う  など

介護休業制度をどう使う?

 介護はどのくらいの期間必要なのか?

 では上司に言われたからとはじめに介護休業をすべて使ってしまうと危険です。

下のマンガは厚生労働省のマンガでわかる!介護休業制度 の一部です。上司と思われる人が介護休業制度について伝えています。赤丸に囲んだところに注目してください。

「仕事と介護の両立ができる体制づくり」ということがポイントです。

介護はだれが、なにを、どこで、行うかなどは決めやすいですが、どのくらいの期間なのか、どんな道のりなのかは見通しできない難しさがあります。1年で介護が必要なくなるかもしれないし、10年必要かもしれません。また、この仕事と介護の両立ができる体制づくりは1回で終わるとも限りません。

介護休業は93日間取得できて、その間給付を受けることもできますが、3回に分割することが可能です。一度に3ヶ月まとめて休みをとって、結局仕事に復帰できず辞めなければならなくなった、とならないようにしていきたいですね。

どんな介護休業制度が利用できるのか。

厚生労働省の介護休業制度のパンフレットを参考に、自分の仕事場での介護休業制度がどうなっているかチェックできるとよいでしょう。特に短時間制度を利用すると給料が変わることもあるので、要チェックです。

介護を始めるときの強い味方

地域包括支援センター

介護を始めるときの最初の相談先に適しています。介護を受ける人の地域の包括支援センターに来所か電話で相談開始します。介護保険の申請手続きや、利用可能なサービスについてなど説明してくれます。

かかりつけ医

介護保険の申請手続きに必要な主治医意見書を作成してくれます。通院が困難になった場合でも、在宅へ往診として継続的に診てくれるところもあります。

ケアマネージャー(介護支援専門員)

介護を受ける人の状況に合わせて介護サービス計画(ケアプラン)を作成してくれます。介護サービス提供事業者や自治体との連絡調整を行ってくれます。定期的に介護を受ける人のお宅を訪問し、状況の変化を確認して介護サービス計画(ケアプラン)の見直しを行ってくれます。

介護サービス計画(ケアプラン)のポイント

ケアマネージャーに具体的に介護サービス計画(ケアプラン)をたててもらうときに、会社との両立をしていきたいことを伝えてください。介護を行う人も受ける人も満足できるような介護サービス計画(ケアプラン)になるように相談してください。

まとめ

介護休業制度というものがあります。

具体的には、介護休業、短時間勤務、介護休暇、残業の免除・制限、フレックス・時差出勤などがあります。

2025年(令和7年)4月から介護離職防止のため、事業主から仕事と介護の両立の支援をするように義務化されます。

自分の仕事場ではどんな介護休業制度が利用できるのか、給料面はどうなるか会社と相談するとよいでしょう。

介護休業は1度に使い切らないようにしたほうが無難です。

介護サービス計画(ケアプラン)を作成時には会社と介護の両立をしていきたいことをケアマネージャに伝えるとよいでしょう。