人間がエネルギーを取り入れる方法は、大きく分けて二つあります。
ひとつは食べ物から栄養として取り入れること。
そしてもうひとつが、呼吸を通して取り入れることです。

私たちは「何を食べるか」についてはとても気にしますが、
どんな呼吸をしているかについては、意外と知らないまま過ごしているのではないでしょうか。

私自身、これまで知っていた呼吸法といえば腹式呼吸胸式呼吸くらいでした。

上記のヨガ本には様々な呼吸法が紹介されており、「こんなに多くの呼吸法があるなんて、ちゃんと意識したことがなかったな」と驚きました。

そこでこの記事では、
呼吸法の種類とそれぞれの効果を、目的別にわかりやすくまとめていきます。

呼吸法とは?毎日の呼吸が心と体を変える理由

呼吸のリズム・深さ・通り道を整えることで、心身のバランスを回復させていくための方法です。

特別な修行や難しい技術は必要ありません。誰でも、今日から、自分のペースで始められます。

呼吸法=特別な人のものではない

呼吸法はヨガや瞑想の世界だけのものではありません。

  • 気持ちが落ち着かないとき
  • 頭が疲れているとき
  • 眠る前に切り替えたいとき

そんな日常の中で使えるセルフケアです。

自律神経・感情・集中力との関係

呼吸は、自律神経と深くつながっています。

  • 浅く速い呼吸 → 緊張・不安
  • 深くゆっくりした呼吸 → 安心・回復

呼吸法は、「心を変えよう」とするのではなく、呼吸から整えることで、心が自然に変わる方法です。

呼吸法を目的別に選ぶ

呼吸法にはさまざまな種類がありますが、目的に合ったものを選ぶことが、いちばん大切です。

ここでは「今の自分に合う呼吸法」が見つかるよう、目的別にご紹介します。

目的別呼吸法クイック一覧表

呼吸法主な目的難易度おすすめのYOUTUBE
ナディ・ショーダナ
片鼻呼吸
自律神経調整
腹式リズム呼吸法安定・安心感
サマ・ヴリッティ
等間隔呼吸
呼吸リズム調整
カパラバティ
頭蓋骨を輝かせる呼吸
頭がすっきり・集中力UP
バストリカ
ふいごの呼吸
活力・体温UP
スーリヤ・ベーダナ
太陽の呼吸
行動力・覚醒
シータリー
冷却呼吸
クールダウン
チャンドラ・ベーダナ
月の呼吸
興奮を鎮める
ブラーマリー
蜂の音呼吸
思考鎮静蜂の音呼吸法を試す
フーンシー呼吸法観照力
ウジャイ
勝利の呼吸
集中と統合
胎息呼吸法深い静寂

難易度:初心者OK | 慣れが必要 | 経験者向け

自律神経とバランスを整えたいときの呼吸法

自律神経を整えたい、心を落ち着かせたい、ストレスを軽減したい時に向いている呼吸法です。

ナディ・ショーダナ呼吸法(片鼻呼吸)

自律神経のバランスを整え、心と体を落ち着いた状態へ導く。
最も基本的で安全な呼吸法です。

効果自律神経調整・心の安定
タイミングいつでも
難易度
(初心者OK)
所要時間5−10分
こんな時におすすめ
ストレスやイライラを感じる自律神経を整えたい
心を落ち着かせたい瞑想の準備として

腹式リズム呼吸法

内臓をやさしく刺激し、緊張をゆるめ、体の土台を整える。
すべての呼吸法の基本です。

効果安定・安心感
タイミング
難易度
(初心者OK)
所要時間3−5分
こんな時におすすめ
初めて呼吸法を試すリラックスしたい
夜眠る前不安を和らげたい

サマ・ヴリッティ呼吸法(等間隔呼吸)

呼吸の長さをそろえることで、心拍と神経のリズムが整い、心身が安定した状態に戻ります。

効果呼吸リズム調整・集中力
タイミング休憩時
難易度
(初心者OK)
所要時間5分
注意事項無理のない範囲で
こんな時におすすめ
呼吸のリズムを整えたい心を落ち着かせたい
集中力を高めたい瞑想の準備として

目覚め・活性化したいときの呼吸法

朝の目覚めが重い、やる気を出したい、集中力を高めたいときに向いている呼吸法です。

カパラバティ呼吸法(頭蓋骨を輝かせる呼吸)

思考をクリアにし、呼吸を深く整え、意識がぱっと明るくなる

効果頭がすっきり・集中力UP・代謝促進・腹筋強化
タイミング朝、空腹時がベスト
難易度(慣れが必要)所要時間5分
注意事項妊娠中、生理中、高血圧の方は避けてください
めまいを感じたらすぐに中止
こんな時におすすめ
朝の目覚めが悪い 午後の眠気を吹き飛ばしたい
集中力を高めたい 頭をクリアにしたい

火の呼吸法実戦動画

バストリカ呼吸法(ふいごの呼吸)

体を内側から温め、血流や巡りを良くし、元気と活力を引き出す

効果体を温める・活力UP・代謝促進
タイミング朝〜昼
難易度(経験者向け)所要時間5−10分
注意事項カパラバティに慣れてから挑戦
高血圧、心臓病、妊娠中の方は絶対に避けてください
めまいや過呼吸を感じたらすぐに中止
こんな時におすすめ
寒い朝に体を温めたい エネルギー不足を感じる
やる気を出したい運動前のウォームアップ

スーリヤ・ベーダナ呼吸法(太陽の呼吸)

体を内側から温め、集中力と行動力を高める呼吸法です。

効果行動力・覚醒
タイミング
難易度(慣れが必要)所要時間3−5分
注意事項夜は避けましょう(覚醒効果があるため)
落ち着きたい時には不向き
こんな時におすすめ
朝のルーティンとして行動力を高めたい
積極性を引き出したい陽のエネルギーを活性化したい

熱・ストレスを鎮めたいときの呼吸法

気持ちが高ぶっているときや、暑さ・疲れを感じるときには、鎮める方向の呼吸法が役立ちます。

シータリー呼吸法(冷却呼吸)

体の熱をしずめ、気持ちを落ち着かせ、疲れた心と体をやさしく休ませる

効果クールダウン・体温調整
タイミング夏・就寝前
難易度(慣れが必要)所要時間3−5分
注意事項冬や寒い日は避けましょう
体を冷やしたくない時は不向き
こんな時におすすめ
暑い日に体温を下げたい気持ちをクールダウンしたい
怒りや興奮を鎮めたい夏の夜に涼みたい

チャンドラ・ベーダナ呼吸法(月の呼吸)

月のような穏やかな呼吸が、高ぶった神経をしずめ、深い休息へ導きます。

効果興奮を鎮める・クールダウン
タイミング
難易度(慣れが必要)所要時間5分
注意事項朝や活動前は避けましょう
こんな時におすすめ
興奮して眠れない頭が冴えすぎている
クールダウンしたい夜のルーティンとして

瞑想・深い静けさに入るための呼吸法

心を外側から内側へと静かに向けたいときには、意識を一点に集めやすい呼吸法が助けになります。

ブラーマリー呼吸法(蜂の音呼吸)

頭の中のざわつきを静め、深いリラックスへ導きます。
夜寝る前に行うと深い睡眠を促進します。
音の振動が脳をマッサージするような感覚です。

効果思考鎮静・不安軽減
タイミング瞑想前・就寝前
難易度
(初心者OK)
所要時間5分
こんな時におすすめ
寝る前にリラックスしたい瞑想の準備として
不安や緊張を感じる頭の中が騒がしい

フーン・シー呼吸法

感情の揺れが落ち着き、物事をありのままに見つめやすくなります。

効果観照力・瞑想力
タイミング瞑想中
難易度(慣れが必要)所要時間5−10分
こんな時におすすめ
瞑想を深めたい観照力を高めたい
内観したい

ウジャイ呼吸法(勝利の呼吸)

呼吸が深まり、体と意識が落ち着いて整います。

効果集中と統合
タイミング動中(ヨガ練習中)
難易度(慣れが必要)所要時間
こんな時におすすめ
ヨガのアーサナ(ポーズ)練習中動きながら集中したい
呼吸と動きを統合したい

胎息呼吸法

呼吸を操作せず、自然にまかせることで、存在の奥に還っていく呼吸です。

効果深い静寂・瞑想
タイミング瞑想終盤
難易度(経験者向け)所要時間10分
注意事項上級者向けの呼吸法です。
他の呼吸法に十分慣れてから挑戦。
無理に息を止めないようにしましょう。
自然に呼吸が微細になるのを待ちましょう。
こんな時におすすめ
深い瞑想状態に入りたい内なる静けさを体験したい
上級の瞑想実践者として

初心者におすすめの呼吸法はどれ?

初めて呼吸法を試す方には、次の3つがおすすめです。

  • ナディ・ショーダナー呼吸法(片鼻呼吸):安心感があり失敗しにくい
  • 腹式リズム呼吸法:日常生活に取り入れやすい
  • ブラーマリー呼吸法(蜂の音呼吸):心の静まりを感じやすい

まずは1つ選び、短時間から始めてみてください。

呼吸法を行うときの注意点

呼吸法は無理に行うものではありません。

  • 苦しさや違和感を感じたら中止する
  • 体調がすぐれないときは休む
  • 比べず、自分のペースを大切にする

呼吸法は無理して「がんばるもの」ではなく、心地よさを最優先にしてあげてください。

呼吸法は続けるほど効果が深まる

呼吸法は継続することで、段階的に異なる効果が現れます。長く続けるほど、深い変化を体験できます。

継続期間主な変化心の変化身体の変化
1週間〜2週間即効性を実感リラックス・頭がすっきり呼吸が深くなる・心拍が落ち着く
2週間〜1ヶ月安定し始めるストレス軽減・集中力UP睡眠改善・疲れにくくなる
1〜3ヶ月習慣化感情が穏やか・不安減少肺活量向上・自律神経安定
3〜6ヶ月深まり内側の静けさ・活力増加体質改善・回復力UP
半年〜変容深い安心感・直感力向上全身の調和・エネルギー向上

※効果の現れ方には個人差があります。体調や無理のないペースを大切にしてください。

上向きの矢印を指す猫

長期継続でどこが変化していくのでしょうか?

脳の変化呼吸を整える習慣により、
ストレスに反応しにくい脳の回路が育っていきます。
習慣化毎日の呼吸が自然と深く穏やかになり、
意識しなくても心身が整いやすくなります。
身体の変化細胞のエネルギー産生が活発になり、
疲れにくく回復しやすい体へと変わっていきます。
エネルギーの巡りヨガの考えでは、
呼吸とともにエネルギーの通り道(ナディ)が浄化され、
生命の流れがスムーズになるとされています。
意識の変化心が静まり、今この瞬間に集中しやすくなり、
深い安心感を感じる時間が増えていきます。

2週間〜1ヶ月:体が覚え始める

少しずつ呼吸法が習慣になり、日常の変化を感じやすくなります。

ストレスを感じにくくなる
呼吸が自然と深くなる
集中力が続きやすくなる
疲れにくくなると感じる人も

「やらないと落ち着かない」と感じ始める方も多い時期です。

呼吸法を2〜3種類に増やしてみるのもおすすめです。

1ヶ月〜3ヶ月:心の変化がはっきり

心と体のバランスが整い、変化がより安定してきます。

感情の波が穏やかになる
イライラや不安が減る
 集中力が大きく向上
 日常が楽に感じられる

呼吸法が生活の一部になり、無理なく続けられるようになります。

時間を10〜15分ほどに伸ばしても良いでしょう。

3ヶ月〜6ヶ月:エネルギーの流れを感じ始める(上級手前)

この頃になると、呼吸が単なる空気の出し入れではなく、
体の内側を巡る「生命の流れ」そのものとして感じられるようになる人もいます。

呼吸とともに体が温かくなる感覚
内側が軽く澄んでいくような感覚
心が静まり、集中が深まる
活力が長く続く

ヨガ哲学では、この流れをプラーナ(生命エネルギー)と呼びます。
呼吸法を通して、エネルギーの巡りが整い始める段階です。

瞑想と組み合わせると、さらに深い安らぎを感じやすくなります。

半年〜1年以上:内面の変容と深い調和(上級者)

長く呼吸法を続けると、心と体の変化だけでなく、
意識そのものが静かに変わっていく感覚を体験する人もいます。

呼吸と心が一体になるような感覚
深い安心感が常にある
直感が冴えてくる
人生の流れがスムーズになると感じる

ヨガの世界では、

  • エネルギーの通り道(ナディ)が清められる
  • 意識がより高い静けさへ向かう

と表現されます。

難しく感じるかもしれませんが、
「心が深く整い、自然と幸せを感じやすくなる状態」と考えると分かりやすいでしょう。

よくある質問

呼吸法は毎日やったほうがいいですか?

無理のない範囲で、短時間でも続けるのがおすすめです。

何分くらいやったほうがいいですか?

3〜5分でも十分です。

寝る前におすすめの呼吸法は?

シータリー、ブラーマリー(蜂の音呼吸)、腹式リズム呼吸法がおすすめです。

子どもにもできますか?

やさしい呼吸法であれば可能です。

まとめ

呼吸法は、特別な人のためのものではありません。
深く吸う、静かに吐く——
その繰り返しが、心と体を少しずつ本来の場所へ戻してくれます。

目覚めたい朝も、整えたい日中も、静けさに還りたい夜も。
その日の心と体に合った呼吸を選び、無理のない一呼吸から始めてみてください。
きっと、今日の一呼吸が、明日の心を少しやわらかくしてくれます。

免責事項:この記事の情報は教育目的で提供されており、医療アドバイスの代わりにはなりません。持病のある方、妊娠中の方は、呼吸法を始める前に必ず医師に相談してください。

ABOUT ME
kawa10umika
看護師15年目 民生委員児童委員 誰も省かれることない社会、みんなが輝く社会を ほっこりするような読後感をめざします!