パワーかフォースかシリーズ(全25回)
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第25回:受容の深い実践|現実をそのまま受け入れる技術
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多様性が大切だと叫ばれる時代になりました。

頑固なおじさんでさえ、時代に合わせて必死に価値観をアップデートしようとする。
そんな姿を描くドラマも話題になっています。

受容とは、そんなイメージを持たれることが多いかもしれません。
しかし、本当の受容は少し違います。

多様な社会の中で、
「どうしても多様性を受け入れられない人」さえも、そのまま受け入れる。

それは一見、矛盾しているように聞こえるかもしれません。

しかし、意識レベルでいう「受容」とは、
まさにそのような状態を指します。

では、どうすればそこへ近づいていけるのでしょうか。

この記事では、意識レベルの考え方をもとに、
「勇気 → 中立 → 受容」という流れをたどりながら、

現実をそのまま受け入れるという実践について
ゆっくり考えていきます。

受容(350)

起こった出来事に抵抗せず、
「今この現実はそうなのだ」と認めること。

あきらめではなく、
現実と協力して生きる姿勢。

セイウチのイラスト

受容(350)|今この瞬間を受け入れる

受容とは、今この瞬間を受け入れることです。

言葉にするととてもシンプルですが、多くの人にとって、それを実践することは簡単ではありません。

なぜなら、人は現実を生きているようでいて、実際にはそれぞれのフィクションの中で生きているからです。

私たちは、自分自身で作り上げた物語の中を歩いています。

それぞれ異なる仮想現実を内包するクリスタルが並ぶ幻想的な水彩イラスト

それは映画
マトリックス
で描かれた仮想現実の世界にも少し似ています。

安らかな幻想の中に留まり続けるのか(青いカプセル)、それとも痛みを伴っても真実の姿を見るのか(赤いカプセル)。

意識レベルにおける「受容」は、後者を選ぶ勇気から始まります。

自分が作り上げた

「自分は正しい、相手が間違っている」
「私は不幸な運命にある」

そうした精巧なフィクションから目覚めること。
それが「中立」です。

そして、現実という生身のコードをそのまま受け入れること。
それが「受容」です。

【受容へ至る3つのステップ】
  • 勇気(200)
    幻想から目覚めようとする意思
  • 中立(250)
    良い・悪いの判断をいったん保留する
  • 受容(350)
    現実をそのまま受け入れる

自分がフィクションから目覚めることが、一般に悟りや覚醒と呼ばれているものなのかもしれません。

では、なぜ「目覚めよ」「覚醒せよ」という言葉が語られるのでしょうか。

それは、自分の物語の中だけで生きていると、真実が見えなくなるからです。

視点が変われば、真実も変わる

数字を囲んでそれぞれ異なる反応をする人物たちのイラスト

同じ出来事でも、人によって見える世界は違います。

たとえば裁判では、同じ出来事をめぐって、まったく違う証言が語られることがあります。

被害者の視点、加害者の視点、第三者の視点。

それぞれが自分の見てきた世界を語っているだけなのに、そこにはまるで違う物語が存在します。

どれが本当なのかと迷うかもしれません。

けれども、それぞれがその人にとっての真実だとしたらどうでしょうか。

同じ出来事でも、人によってまったく違う物語になります。

ある人にとっては悲劇の物語かもしれません。
しかし別の人にとっては、そこから立ち直る成長の物語かもしれません。

さらに第三者から見れば、また別の物語が見えていることもあります。

もし受容の段階にいる人が増えたなら、世界は少し変わるかもしれません。

人はそれぞれの世界を受け入れ、
自分のストーリーから少し外に出て、現実をそのまま見ようとするようになるでしょう。

なぜ人は現実を受け入れられないのか

静かに前を見つめる子どものやさしい水彩画

人が現実をそのまま受け入れられない理由。
それは、その人のこれまでの歴史があるからです。

誰にでも幼少期があり、その中で少なからず傷を抱えています。

人は生まれた瞬間、産声をあげます。
それほど強烈な体験であることから、バーストラウマと呼ばれることもあります。

人は、思っている以上に傷つきながら生きてきているのです。

その傷を癒す行為が、いわゆるインナーチャイルドを癒すということです。

物語の中ではよく、
幼い頃の自分を抱きしめる描写として表現されます。

中立という一段階

自分が作ってきた物語から、いきなり抜け出すことは簡単ではありません。だからこそ、受容へ向かう前の段階として「中立(250)」の状態がとても大切になります。

【中立とは】

良い・悪いの判断をいったん保留し、
起きている出来事をそのまま観察する状態。

感情を消すことではなく、
すぐに結論を出さない姿勢。

私たちは普段、出来事が起こるとすぐに判断を下します。

「これは良いことだ」
「これは悪いことだ」
「これは間違っている」

けれど、その判断こそが、実は自分の物語を強化していることがあります。

そこで一度、良い・悪いの判断を保留し、ただ出来事をそのまま見るという姿勢をとります。

それが「中立」です。

中立とは、何も感じないことではありません。
ただ、すぐに結論を出さず、起きていることをそのまま観察する状態です。

この一段階を挟むことで、人は少しずつ自分が作ってきた物語から距離を取ることができます。

そしてその先に、現実をそのまま受け入れる「受容」の状態が見えてくるのです。

感情が動くとき

もし自分が受容の段階にいると思っていても、
ふとした瞬間にイライラしたり、悲しくなったりすることがあります。

感情が揺さぶられるとき。
それは、あなたにとってとても大切なサインです。

しかし同時に、受容の段階へ進むことを妨げる要因にもなり得ます。

そのとき大切なのは、その感情と向き合うことです。

無理に変えなくてもいい。
否定しなくてもいい。

ただ、静かに眺めるだけでも構いません。

とはいえ、人はついそこから逃げたくなるものです。

そして、ときには
どうしても受け入れられないこともあるでしょう。

そんなときは、
受け入れられない自分を、受け入れてみてください。

それもまた、受容へ向かう大切な一歩です。

人生の困難と受容

人生では、ときに困難やピンチが訪れます。

私たちはそれを
「悪い出来事」と判断してしまいがちです。

しかし、受容の視点では
出来事そのものにすぐ意味を与える必要はありません。

それはただ
「今起きている出来事」なのかもしれません。

その出来事をまず受け入れてみる。

すると時間が経ったとき、
それがどんな意味を持っていたのかが
自然と見えてくることがあります。

【苦しみの第二の矢】

私たちの多くの苦しみは、出来事そのものではなく
「現実への抵抗」から生まれます。

  • 年齢への抵抗——「老いたくない」と思い続けることで、今の自分の美しさや知恵に気づけなくなる
  • 失敗への抵抗——「こんなはずじゃなかった」と否定し続けることで、そこから学べる教訓を見逃す
  • 過去への抵抗——「あの時ああしていれば」と過去を変えようとして、今この瞬間の可能性を見逃す

日常でできる、受容の小さな練習

【受容の小さな練習】
  1. 「そうか」と受け止める
  2. 感情を天気のように見る
  3. コントロールできることに集中する

① 「そうか」の一言

予期しないことが起こった時、まず「そうか」と言ってみてください。「そうか、電車が遅れているのか」「そうか、今日は体調が良くないのか」。この一言が、抵抗モードから受容モードへの切り替えスイッチになります。

② 感情を天気のように見る

「今日は心が曇り空だな」「今、人間関係に嵐が来ているな」。天気を変えようとする人がいないように、感情も自然現象として受け止める練習です。

③ コントロールできること・できないことを分ける

悩んでいることを書き出して、「自分がコントロールできること」と「できないこと」に分けてみてください。コントロールできないことは受容し、できることに集中することで、エネルギーの無駄遣いを防げます

看護師として感じる「受容」

看護師として働く中で、認知症の方と接することがあります。

初期の認知症の方は、ときにこう言うことがあります。

「あなたがお金を盗んだの?」

看護師としての知識があるので、
私は穏やかに対応します。

けれど、内心ではドキドキしています。

認知症の方は、表面的な言葉を見抜く力を持っています。
本当に味方だという気持ち(パワー)で接すると、不思議と穏やかに戻っていきます。

しかし、

「私はそんなことしていません」

と否定的に(フォース)返してしまうと、
火に油を注ぐことになってしまいます。

では、それが自分の家族だったらどうでしょうか。

家族には長い歴史があります。
思い出や感情が重なっています。

認知症の症状だと頭では理解していても、
すんなり受け入れられるかといえば、正直、自信はありません。

引っかかりながら生きるということ

ある人は言いました。

人は、人生の中で200〜300くらいの引っかかりを抱えながら生きている。
そしてそれがゼロになったとき、命がなくなる。

確かに、そういう見方もあるでしょう。

けれど私は、少し違う考えを持っています。

もし受容の段階にいる人が増えていったら、
社会は大きく変わるのではないでしょうか。

それを人類の進化と呼ぶかどうかは、人それぞれです。

しかし私は、それが
人類が生き残っていくための一つの道なのではないかと思っています。

受容が創造的エネルギーを生む理由

抵抗を手放すと、心は静かになります。
その静けさの中で、直感やアイデアが自然に浮かび上がります。

受容とは、
人生の流れと戦わず、調和して生きる知恵なのです。

川の流れに乗って進むボートに乗った人のイラスト

まとめ|受容とは現実と協力して生きること

受容とは、
「今この現実とともに、どう生きるか」を選ぶ力。

人生の波に逆らうのではなく、
波を読み、波に乗る。

そのとき私たちは、
穏やかさと強さを同時に手に入れることができます。

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kawa10umika
看護師15年目 民生委員児童委員 誰も省かれることない社会、みんなが輝く社会を ほっこりするような読後感をめざします!