第18回:怒りの正体に気づく|イライラが教えてくれる「自分の枠組み」
全記事リストを表示 ▼
また今日も、イライラしてしまった。些細なことで腹が立って、つい声を荒げてしまった。 後から「なんであんなに怒ってしまったんだろう」と自己嫌悪に陥る…
そんな経験はありませんか?
怒りは瞬間的に燃え上がり大きなエネルギーをもっています。
今回は、怒りのエネルギーを活かす現代的アプローチを提案します。
怒りは、無気力や悲しみから抜け出し、行動のエネルギーを取り戻した状態。
被害者から行為者への転換点。

怒りは火のよう
怒りには、火のような性質があります。
- パッと出てくる: 一瞬で燃え上がる
- 燃え上がりやすい: 小さなきっかけで大きくなる
- エネルギーを持つ: 大きな力を発揮する
- 変容させる: 状況を変化させる力がある
- 浄化する: 不正や間違いを明らかにする


看護師は怒っている人が多い!?
看護師は割と怒っている人が多い気がします。あなたも怒っている看護師に出会ったことがありませんか?
「この食生活じゃだめだよ」 「こうしてください」
年配の看護師に多い気がします。この怒りは患者さんを守りたいという気持ちから発していると思います。「なんでこんなことしているの? このままじゃよくならないよ」という思いから怒るのですね。

しかし、ここに大きなジレンマがあります。
患者さんから「あの人苦手」という声や表情をよくみてきました。患者さんには伝わっていないのです。

良かれと思って怒ってくれているのに感謝されないなんて、損ですね。
自分のことを思って怒ってくれているのに、受け取る側は避けてしまう。怒りが出てくるのは悪いことではないのですが、それを他人にぶつけると人は避ける傾向にあるようです。
イライラをぶつけても、相手には伝わらない
怒りながら相手に話しても、相手の耳は閉じてしまいます。人は攻撃されると、防御モードに入ります。あなたの言葉の内容ではなく、怒りのエネルギーに反応してしまうのです。
- 相手は「怒られた」という事実しか残らない
- なぜ怒っているのか、本当に伝えたかったことは届かない
- お互いに傷つき、関係がギクシャクする
イライラの感情表出だけでは、何も伝わりません。
イライラしている人にもダメージがある
怒りの感情の高ぶりは本人にもダメージがあります。
交感神経が活性化し、攻撃・破壊衝動が強まります。
持続すると、高血圧や人間関係の悪化を招きます。


怒りとはなにか
怒りは、決して悪い感情ではありません。むしろ、大切なメッセージを運んでくる感情です。
怒りが教えてくれる4つのこと
あなたの大切な価値観
何を大事にしているかが見える
怒りは、あなたが心の底で「これだけは譲れない」と思っている価値観を教えてくれます。

境界線が侵された
自分や大切な人が傷つけられそうになっている
境界線とは、「ここまではOK、ここからは許せない」という心の線です。

変化のエネルギー
現状を変えたいという強い意志
怒りは、現状に満足していない証拠です。そして、それは変化への原動力になります。

守りたいものがある
あなたの使命や情熱の源
怒りの根底には、必ず守りたい何かがあります。


怒りは「期待と現実のギャップ」から生まれる
看護師が患者さんに怒ってしまうのは、こんな心の動きがあるからです。
- 「この食事を改善すれば、もっと元気になれるのに」(期待)
- 「なのに、全然変えようとしない」(現実)
- 「このままじゃ悪化してしまう!」(焦り・不安)
- 「なんでわかってくれないの!」(怒り)
つまり、怒りの奥には「心配」や「不安」が隠れているのです。

患者さんを守りたい気持ちが強いほど、その思いが届かないもどかしさが怒りとなって表れます。優しさや思いやりが、形を変えて「怒り」として出てきてしまうのですね。
問題は「怒り」そのものではなく「表現方法」
怒りのエネルギー自体は、むしろ必要なものです。
問題なのは、そのエネルギーを相手にぶつける形で表現してしまうこと。
火のエネルギーは、使い方次第で
- 暖をとることもできれば
- 料理をすることもできる
- でも、コントロールを失えば火傷をさせてしまう

怒りも同じです。このエネルギーをどう使うかが重要なのです。
アンガーマネジメント:怒りを味方にする実践法
アンガーマネジメントは、怒りを抑え込むのではなく、怒りと上手に付き合う方法です。
ステップ1:まず落ち着く
6秒ルール:怒りの炎を鎮める
怒りのピークは最初の6秒間。この6秒をやり過ごせば、理性を取り戻せます。

怒りの温度計:感情を客観視する
怒りを0〜10段階で数値化してみましょう。

タイムアウト:距離を取る勇気
怒りが大きすぎると感じたら、その場から離れることも大切です。

ステップ2:理解する
「べき」を見つける:怒りのトリガーを知る
怒りの多くは「〜べき」という思い込みから生まれます。
そしてその「べき」は、あなたが大切にしている信念や価値観から来ています。時間を守ることの大切さ、相手への思いやり、丁寧さ、理解し合うこと…それ自体は決して悪いものではありません。
でも、ここで一つ、大切な問いがあります。
「その『べき』は、相手も同じように思っているだろうか?」
「勝手な思い込み」を押し付けていないか?
私たちはつい、自分の価値観や期待を相手も共有しているはずだと思い込んでしまいます。
「時間厳守は当たり前でしょう」 「これくらい言わなくてもわかるでしょう」 「普通はこうするでしょう」
でも、その「当たり前」「わかるでしょう」「普通」は、本当に相手にとっても同じでしょうか?
育った環境が違えば、価値観も違います。文化が違えば、「普通」も違います。そもそも、一人ひとりが大切にしているものは違うのです。
つまり、イライラの多くは自分の枠組みを相手に押し付けて、それに従わなかったことへの怒りなのかもしれません。
そう気づくと、ちょっと視界が開けてきませんか?

ステップ3:伝える
Iメッセージ
怒りをぶつけるのではなく、主語をYOU(あなた)からI(わたし)に変えることで、自分の気持ちを伝える方法です。相手を責めないので相手の反発を招きにくく、自分の気持ちを伝えられるので人間関係を良好にしやすいメリットがあります。
| YOUメッセージ | Iメッセージ |
|---|---|
| あなたは時間を守るべきだ | 約束の時間に来てもらえなくて、私は不安になった |
| あなたは私のしたことを当然だと思っている | 一言ありがとうと言ってもらえたら、私は嬉しかったな |
| あなたの扱い方は雑すぎる | 丁寧に扱ってもらえると、私は安心できるんだけど |
| あなたは全然わかっていない | 自分の気持ちがうまく伝わらなくて、私は孤独を感じている |
怒りに気づいて自分の大切なものを知る
怒りは「変えたい」というエネルギー。
怒りはあなたが大切にしているものの警報ランプがなっていることをお伝えしました。
なぜイライラしているのかわからないと感じた時、その奥にあるあなたの大切にしているものが隠れています。
あなたが大切なもの、大事にしたいもの。
怒りは、あなたの情熱や使命感の表れです。
それを守るためにどうしたらいいのか。その火を、相手を照らす灯りに変えることができたら素敵ですね。
まとめ:怒りと仲良くなる
怒りは悪者ではありません。
- 怒りは大切なメッセージを運んでくる
- 問題は表現方法であって、感情そのものではない
- アンガーマネジメントで、怒りを味方にできる
「なんであんなに怒ってしまったんだろう」と後悔する代わりに、「この怒りは何を教えてくれているんだろう?」と問いかけてみてください。
怒りの火を、あなたの大切なものと自分自身を温める優しい灯りに変えていきましょう。

次回予告: 来週は「誇りを健全に保つコツ|自信と傲慢の違い」をお届けします。怒りという変革のエネルギーと仲良くなったあなたが、今度は誇りという成長のエネルギーをどのように健全に育てていくかを一緒に探っていきましょう。
