第12回:意欲の正しい使い方|目標達成の新しいアプローチ
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【あなたはどこ?パワーかフォースか第12回】
「頑張らなきゃ!」と思えば思うほど、なぜか疲れてしまう。そんな経験はありませんか?
新年に立てた目標、気合いを入れて始めた習慣、「絶対に成功させる!」と意気込んだプロジェクト。
最初はやる気に満ちていたのに、気がつくと重荷に感じている。努力すればするほど、なぜか結果がついてこない。そして最終的には「私には向いていないのかな」と諦めてしまう…

もしもあなたがそんな経験をしたことがあるなら、それは決してあなたの能力や努力が足りないからではありません。もしかすると、「意欲」の使い方が少し違っていただけかもしれないんです。
今日は、デヴィッド・R・ホーキンズ博士が教えてくれる、全く新しい意欲の使い方についてお話ししましょう。

意識レベルマップ
私たちが日々体験する感情は、ただランダムに現れるものではありません。それぞれの感情は、特定の意識レベルと深くつながっていて、今の私たちの「心の居場所」を教えてくれる大切なメッセージなのです。
ホーキンズ博士の研究によると、感情と意識レベルには以下のような対応関係があります
低いレベル(20-175)

- 恥 (20)- 「私は存在価値がない」
- 罪悪感(30)- 「私は悪いことをした」
- 無気力(50)- 「もうどうでもいい」
- 悲しみ(75)- 「失ったものが大きすぎる」
- 恐怖 (100)- 「危険が迫っている」
- 欲望 (125)- 「もっと欲しい」
- 怒り (150)- 「これは不公平だ」
- 誇り (175)- 「私は特別だ」
高いレベル(200以上)

- 勇気(200)- 「やってみよう」
- 中立(250)- 「まあ、いいか」
- 意欲(310)- 「達成したい」
- 受容(350)- 「現実をそのまま受け入れよう」
- 愛 (500)- 「すべてが愛おしい」
意欲(レベル310)は、流れに乗る力
ホーキンズ博士の意識レベルマップでは、意欲(Willingness)は310レベルに位置します。前回お話しした中立性(250)からさらに一歩進んだ状態です。
多くの人が「意欲」と聞いて思い浮かべるのは・・・・
- 歯を食いしばって頑張ること
- 目標に向かって突き進むこと
- 困難に負けずに戦い続けること

でも、レベル310の意欲は全く違います。
それは「流れに乗る力」「宇宙の流れと協力する力」なんです。

拓也さんの体験談
拓也さん(仮名)は、以前は典型的な「気合い型」の人でした。
「営業目標は絶対に達成する!」「ライバルには負けない!」そんな風に、いつも自分を奮い立たせながら仕事をしていました。
確かに成果は出していましたが、いつも疲れ切っていました。休日も「もっと勉強しなければ」「もっと努力しなければ」という焦りに駆られて、心から休むことができませんでした。
「頑張っているのに、なんでこんなに苦しいんだろう」

そんな疑問を抱えていた時、拓也さんは一つの気づきを得ました。
「頑張る」から「喜んで参加する」へ
転機は、拓也さんが体調を崩して、しばらくペースを落とさざるを得なくなった時でした。
「今まで無理やり自分を駆り立てていたけど、もう少し自然な形でできないかな?」
そう思った拓也さんは、「頑張って目標を達成する」のではなく「この仕事を通して、お客様や同僚にどんな貢献ができるだろう?」という視点に変えてみました。

すると、不思議なことが起こり始めたんです。
以前は「やらなければならない」と感じていた営業活動が、「この商品で、きっとお客様の問題を解決できる」という喜びに変わりました。
競争相手も「倒すべき敵」ではなく「お互いに高め合える仲間」として見えるようになりました。
「正直不動産」という漫画をご紹介します。
「営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしない」
そんな不動産業界で働く主人公が嘘をつけない体質になってしまいます。
正直営業で奮闘する姿を通して、強引な手法(フォース)から誠実な対応(パワー)へと変化していく様子が描かれています。
NHKでドラマ化され、山下智久さんが主人公を演じました。
レベル310の意欲が持つ3つの特徴
特徴1:抵抗がない
| フォース | パワー |
|---|---|
| 「〜に対抗して」 「〜にも関わらず」 頑張る力。 | 「〜と協力して」 「〜の流れに乗って」 進む力。 |
拓也さんの場合、「競合に負けないために」頑張るのではなく、
「お客様の課題解決のために」動く。
だから、疲れるどころかエネルギーが湧いてくるんです。

特徴2:周りを巻き込む
| フォース | パワー |
|---|---|
| 孤独です。 「自分一人で頑張る」という感覚。 | 自然と周りの人たちが協力したくなる雰囲気を作り出します。 |
拓也さんの新しいアプローチを見ていた同僚たちも、「一緒にやりたい」と感じるようになり、チーム全体のパフォーマンスが向上したそうです。

特徴3:持続可能
| フォース | パワー |
|---|---|
| 燃料のようなもの。 燃やし続けなければ止まってしまいます。 | 太陽光のようなもの。自然と供給され続けるエネルギーです。 |
拓也さんは今、以前よりも良い成績を収めながら、心身ともに健康で充実した日々を送っています。

ネガティブを拾うようにできている脳
私たちの脳には「ネガティブバイアス」という特性があります。
これは科学で証明されている事実です。
ネガティブバイアスとは
- ポジティブな出来事より、ネガティブな出来事を5倍記憶しやすい。
- いいことより、悪いことに注意が向く
- 褒められた10回より、批判された1回が心に残る
これは生存本能です。
危険を察知して、避けることで、人類は生き延びてきました。

この生存本能は、野生動物に襲われる時代には必要でした。
でも現代は、
実際の危険は減った。
↓
なのに、不安だけ増幅される
↓
SNS、ニュース、人間関係・・・すべてが脅威に見える

生き延びるために身につけた能力が、今は私たちを苦しめている
看護師や民生委員としてたくさんの人に接してきて思います。
体の病気以上に、心の不安で苦しんでいる人がどれだけ多いか。
ここで意識レベル「意欲」の出番です。
意欲のレベルでは、意識的にいい面を見るという選択をするということ。
これは「ポジティブシンキング」とは違います。
現実を無視するのではなく、現実の中にある可能性に目を向けるのです。
日常での実践例
脳のネガティブバイアスはこう反応します。
- 「また怒られた。私はだめな人間だ」
- 「お母さんは私のことが嫌いなんだ」
- 「なんでいつも小言ばかり言うの?」
でも視点を変えてみると、
- 「心配してくれているのかも」
- 「お母さん自身も、なにか不安があるのかも」
- 「家族だから、つい強く言ってしまうのかも」
- 「私なんでどうでもいいんだ」
- 「なにか急用があったのかも。大丈夫かな?」
- 「もうやめたい。自分は向いてない」
- 「成長するチャンス。次はこうしよう」
無理にポジティブにならなくてもいいのです。
ただ、「他の見方はないか?」と問いかけるだけ。
意欲を「喜んで参加する力」に変える方法
あなたの「頑張る意欲」もちょっと視点を変えて、「喜んで参加する意欲」に変えてみてください。きっとびっくりする出来事が起こりますよ。
ステップ1:「なぜ」から「誰のために」へ

「なぜこれを達成したいのか?」
↓
「これを通して、誰のためになれるだろう?」
個人的な欲求から、より大きな貢献へ。この視点の転換が、意欲の質を大きく変えます。
ステップ2:完璧主義から最善主義へ

「完璧にやらなければ」
↓
「今できる最善を尽くそう」
完璧主義は抵抗を生みますが、最善主義は流れを生み出します。
ステップ3:結果への執着から過程への愛着へ

「絶対に成功させなければ」
↓
「この過程から何を学べるだろう?」「この経験をどう楽しもう?」
結果に対する不安やプレッシャーが減り、今この瞬間を大切にしながら進めるようになります。
意欲は愛の表現
「愛」というと、スピリチュアル的に聞こえるかもしれません。
「つながり」と捉えるとどうでしょうか?
| ネガティブバイアス(恐怖)の視点 | 愛の視点 |
|---|---|
| 自分 VS 世界 守る、戦う、避ける 分離 | 自分も他者も、同じ人間 理解する、支え合う、受け入れる つながり |
東日本大震災で「絆」が再認識されたことを覚えていますか?
認知症予防でも「つながり」が重要だということがわかってきました。
つまり、人間は、つながりの中で生きる生き物なんです。
野生動物に襲われることはニュースになるくらい稀なことに現代の環境は変わりました。
物理的な危険は減りました。
だから今、人類に必要なのは
恐怖ベースの反応からつながりベースの反応へのシフト
これが進化です。
遺伝子の進化じゃなく、意識の進化です。
ネガティブバイアス(恐怖)を超えて、つながり(愛)へ。
これは、意識レベルで言うと
- 恐怖・怒り・誇りのレベル(200以下)
↓ - 勇気・中立・意欲のレベル(200-300)
↓ - 受容・愛のレベル(350以上)
への成長。
そして、これは個人の成長であり、同時に人類全体の成長になるのです。
一人ひとりが意識を変えることが、社会全体を変えていく。
壮大な話に聞こえるかもしれません。
でも、始まりは小さなこと。
お母さんが怒っている時、
「なんで怒るの?」じゃなく、「心配してくれているのかも」と思えること。
今回の実践:意欲の質を変えてみよう
この一週間で、以下のことを試してみませんか?
- 目標の動機を見直す
- 今取り組んでいることについて、「これは誰のためになるだろう?」「どんな貢献ができるだろう?」と考えてみる。
- 「〜しなければ」を「〜できる」に変える
- 「運動しなければ」→「体を動かす喜びを味わえる」
「勉強しなければ」→「新しいことを学ぶ楽しさがある」
- 「運動しなければ」→「体を動かす喜びを味わえる」
- 小さな貢献を見つける
- 日常の中で「今日は誰のために、何ができただろう?」と振り返ってみる。小さな貢献でも、それを意識することで意欲の質が向上します。
- プロセスを楽しむ時間を作る
- 結果のことは一旦忘れて、「今この瞬間の活動そのものを楽しもう」という時間を作ってみる。
意欲は重荷じゃない、翼なんです
本当の意欲は、あなたを縛るものではなく、あなたを自由にしてくれるものです。
重い荷物を背負って険しい山を登るのではなく、風に乗って空を飛ぶような軽やかさ。そんな体験が、レベル310の意欲には待っています。
あなたの心の中にも、そんな軽やかで喜びに満ちた意欲の種があります。それを育てて、あなたらしい花を咲かせてください。

きっと、これまでとは全く違う、楽しくて充実した目標達成の旅が始まるはずです。
次回予告:次回は「受容という最初の境界線〜抵抗をやめた時の奇跡〜」をお届けします。意欲を正しく使えるようになった先にある、さらに深い解放の体験について、一緒に学んでいきましょう。
あなたの中にある美しい意欲が、世界をもっと素敵な場所にしてくれることを信じています。今日も、あなたらしい輝きを放ってくださいね。
