パワーかフォースかシリーズ(全11回)
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第11回:中立性の力|ジャッジをやめると見えてくるもの
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あなたはどこ?パワーかフォースか・第11回】

電車の中で騒ぐ子どもを見て「しつけがなってない」と思う瞬間。 同僚の発言に「それは間違ってる」と心の中で反発する時。 自分の選択に「これで良かったのかな?」と不安になる夜。

「これって良いことなの?悪いことなの?」そんな風に考えるのに疲れたことはありませんか?

私たちは一日中、無意識のうちに「ジャッジ」を繰り返しています。良いか悪いか、正しいか間違っているか、成功か失敗か…。

でも、そのジャッジに疲れてしまった時、「もっと楽に生きられたらいいのに」と思ったことはありませんか?今日は、デヴィッド・R・ホーキンズ博士が提唱する「中立性」という、とても軽やかで自由な意識状態についてお話ししましょう。

意識レベルマップ

私たちが日々体験する感情は、ただランダムに現れるものではありません。それぞれの感情は、特定の意識レベルと深くつながっていて、今の私たちの「心の居場所」を教えてくれる大切なメッセージなのです。

ホーキンズ博士の研究によると、感情と意識レベルには以下のような対応関係があります


低いレベル(20-175)

悩んでいる犬
  • 恥  (20)- 「私は存在価値がない」
  • 罪悪感(30)- 「私は悪いことをした」
  • 無気力(50)- 「もうどうでもいい」
  • 悲しみ(75)- 「失ったものが大きすぎる」
  • 恐怖 (100)- 「危険が迫っている」
  • 欲望 (125)- 「もっと欲しい」
  • 怒り (150)- 「これは不公平だ」
  • 誇り (175)- 「私は特別だ」

高いレベル(200以上

パワーの溢れ出る犬
  • 勇気(200)- 「やってみよう」
  • 中立(250)- 「まあ、いいか」
  • 意欲(310)- 「達成したい」
  • 受容(350)- 「現実をそのまま受け入れよう」
  • 愛 (500)- 「すべてが愛おしい」

中立性(レベル250)は、心の平和への扉

ホーキンズ博士の意識レベルマップでは、中立性は250レベルに位置します。前回お話しした勇気(200)から一歩進んだ状態です。

勇気のレベルでは「ありのままを受け入れる」ことを学びました。中立性のレベルでは、さらに進んで「ジャッジすることをやめる」という、もう一段階深い解放が起こります。

「え、ジャッジをやめるって、何も判断しないってこと?」

そう思われるかもしれませんね。でも実は、中立性というのは「無関心」や「無責任」とは全く違います。むしろ、より深く物事を理解し、より賢明な行動ができるようになる状態なんです。

学校で育てられた「白黒思考」

学校ではテストに「正解」がありました。答えが明確に決まっていなくても、出題者の意図を読み取れば、どういう答えが欲しいのかなんとなくわかります。そういう訓練を何年も受けてきました。

しかし、社会に出てみればどうでしょう。答えの出ないものばかりです。

白黒つけられることはそんなに多くありません。むしろグレーが一番多い。「これは黒だ!」とはっきり言い切れないことばかりなのです。

三角の札を上げるアマビエ

そして気づき始めました。そもそも白と黒は、本当に違うものなのだろうか、と。

立場が変われば白黒も入れ替わる

社会にはいろんな立場の人がいて、色んな視点から見れば、何が正義で何が悪かも変わってきます。

桃太郎の物語

桃太郎は正義だと習います。鬼は悪いものだと習います。でも、鬼には家族はいないのでしょうか。鬼の側から見たら、突然村に攻め込んできた桃太郎こそが侵略者かもしれません。

例えば戦争

敵をやっつければ英雄として褒められます。でも、そのやっつけた敵にもお父さんやお母さんがいて、兄弟や子供だっているかもしれない。それなのに、それは本当に褒められることなのでしょうか。

「進撃の巨人」が教えてくれること

この作品を読めば、敵と味方を分けることがどんなに愚かなことかがわかるでしょう。物語が進むにつれて、誰が正義で誰が悪なのか、その境界線がどんどん曖昧になっていきます。

善悪の判断は、自分にも刃を向ける

善か悪かと二分することは、実は自分自身にも刃を向けることになります。

平野啓一郎原作のNHKドラマ「空白を満たしなさい」では、主人公の苦悩を画家ゴッホの苦悩になぞらえて語られる場面があります。

自分の耳を削ぎ落とした危険で哀れで病んだゴッホを、健康的で生きる力のあるゴッホたちが殺すんです。

真ん中の耳を怪我して包帯を巻いたゴッホを、その周りのゴッホたちが責めるのだというのです。どれもゴッホであるのにも関わらずです。

白黒つける厳しいジャッジは、最終的に自分自身を追い詰めてしまうのです。

ジャッジが作り出していた見えない疲労

白黒思考で生きていると、こんな疲労が蓄積します。

  • 「あの人が間違ってる!」と怒るためのエネルギー
  • 「これは良くない状況だ」と不安になるためのエネルギー
  • 「私の判断は正しかった」と正当化するためのエネルギー

こうしたエネルギーを使い続けることで、知らず知らずのうちに心が消耗していくのです。

中立性との出会い:雨はただ雨

ある日、窓の外を眺めていて、ふと気づきました。

「雨って、良いも悪いもないんだな」

それまでは、雨が降ると「洗濯物が乾かない、嫌だな」と思っていました。でも、雨はただ雨。花にとっては恵みだし、誰かにとっては憂鬱かもしれない。でも、雨自体に良い悪いはない。

カタツムリに葉っぱの傘を掲げるカエル

「もしかしたら、私がいつもジャッジしていることも、本当は良いも悪いもないのかもしれない」

その気づきが、人生を変える始まりでした。

中立性がもたらす3つの解放

解放その1:感情的な消耗からの自由

ジャッジをやめると、感情的なエネルギーの消耗が劇的に減ります。

「あの人が間違ってる!」と怒るためのエネルギー 「これは良くない状況だ」と不安になるためのエネルギー 「私の判断は正しかった」と正当化するためのエネルギー

コロコロした豚

こうしたエネルギーが必要なくなると、驚くほど心が軽くなるんです。

解放その2:関係性の改善

ジャッジをやめると、人間関係が不思議なほど良くなります。

相手を「間違っている人」として見るのをやめて、「そういう考え方もあるんだな」という視点で見られるようになると、相手も心を開いてくれるようになります。

肩を組みニッコリした三匹の猫

「この方法は間違ってる」と指摘していた場面で、「こんな方法もありますが、どう思いますか?」と提案するようになると、周りの人も積極的に意見を出すようになります。

解放その3:創造性の発揮

「正しい答え」を見つけることに必死になっていると、新しいアイデアや柔軟な解決策が見えなくなります。でも中立性の状態では、「どれが正解か」ではなく「どんな可能性があるか」を探求できるようになります。

メガネをきらつかせ、顎に指を当てる猫

中立性は冷たさじゃない、優しさの別の形

「ジャッジをやめる」と聞くと、「冷たい人になってしまうのでは?」と心配する方もいるかもしれません。でも実際は逆なんです。

中立性の状態にいる時の私たちは

  • より深く相手を理解しようとする
  • 感情的に反応せず、冷静に対応できる
  • 相手の立場に立って考えられる
  • 建設的な解決策を見つけやすくなる

これって、とても優しい状態だと思いませんか?

今日から始められる中立性の練習

中立性は、日常の小さな練習から育てることができます。

練習1:「そうなんだ」という魔法の言葉

誰かが何かを言った時、すぐに「それは違う」「それはおかしい」と思う前に、「そうなんだ」と心の中で言ってみる。これだけで、ジャッジのスイッチがオフになります。

んだという犬

練習2:雨の日の気づき

雨の日に「嫌だな」と思ったら、「雨はただ雨。私が勝手に意味をつけているだけ」と思い直してみる。自然現象は中立性の良い先生になってくれます。

雨の中傘をさしている女の子の後ろ姿

練習3:相手の立場で考える

「この人は間違ってる」と思った時、「この人はどんな事情があって、そう考えているんだろう?」と好奇心を持ってみる。ジャッジから理解への転換です。

チーズを持ったネズミを見る猫

練習4:グレーゾーンを楽しむ

白黒つけられない状況に出会ったら、「わからない」ことを楽しんでみる。答えがないことは、実は自由なことでもあるのです。

楽しそうな表情の猫

あなたの中にも、中立性の種がある

実は、あなたも既に中立性を体験していることがあるはずです。

美しい夕日を見ている時、 好きな音楽を聞いている時、 愛する人と静かに過ごしている時。

そんな瞬間には、「良い悪い」を超えた、ただ「そこにある」ことの美しさを感じているのではないでしょうか。

その感覚を、日常のもっと多くの場面に広げていくこと。それが中立性を育てるということなんです。

今回の実践:ジャッジ休暇のススメ

この一週間、以下のことを試してみませんか?

  1. 一日一回「そうなんだ」と言ってみる(意見の違いを感じた時に)
  2. 天気にジャッジしない日を作る(雨でも晴れでも「今日はこんな天気なんだな」と受け取る)
  3. 相手を理解しようとする時間を作る(批判する前に、相手の事情を想像してみる)
  4. 自分の感情を観察する(怒りや不安を感じた時、「あ、今ジャッジしようとしてるな」と気づく)

これらの小さな実践が、あなたの心に穏やかな空間を作ってくれるでしょう。

中立性は愛への準備

中立性を育てることは、実は次のステップである「愛」の意識レベルへの準備でもあります。

ジャッジを手放した心は、より深い愛と理解に満たされていきます。相手を変えようとするのではなく、ただ愛をもって見守ることができるようになるんです。

あなたの心が、今よりもっと軽やかで、もっと穏やかになりますように。そんな願いを込めて、今日のお話を終わりにしたいと思います。


次回予告:次回は「意欲の正しい使い方〜目標達成の新しいアプローチ〜」をお届けします。中立性を身につけた上でのモチベーションは、これまでとどう違うのか?より自然で持続可能な意欲について、一緒に学んでいきましょう。

今日のあなたの存在が、誰かの心に穏やかな波紋を広げていることを信じています。素敵な一週間をお過ごしください。

心と体はつながっています。心身を同時に整えることで相乗効果が期待できます。

体を整えるにはヨガがおすすめ。特に体が硬い方ほど効果を実感しやすく、血流改善や体調向上が期待できます。

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※個人差があります。体調に不安のある方は医師にご相談ください


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kawa10umika
看護師15年目 民生委員児童委員 誰も省かれることない社会、みんなが輝く社会を ほっこりするような読後感をめざします!