第13回:受容という最初の境界線|抵抗をやめた時の奇跡
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【あなたはどこ?パワーかフォースか・第13回】
「どうにもならない」と思った時こそ、人生が動き始めることがあります。
嫌な上司との関係、思うようにいかない恋愛、なかなか改善されない家族の問題、停滞している仕事の状況…
「なんとかしなければ」「変えなければ」「頑張らなければ」
そんな風に必死に抵抗し、戦い続けているのに、状況は一向に良くならない。むしろ、抵抗すればするほど、問題が大きくなっているような気さえする。

もしもあなたがそんな経験をしたことがあるなら、今日のお話はきっと心に響くはずです。デヴィッド・R・ホーキンズ博士が教えてくれる「受容」という、とても不思議で美しい力について、一緒に探ってみませんか?
意識レベルマップ
私たちが日々体験する感情は、ただランダムに現れるものではありません。それぞれの感情は、特定の意識レベルと深くつながっていて、今の私たちの「心の居場所」を教えてくれる大切なメッセージなのです。
ホーキンズ博士の研究によると、感情と意識レベルには以下のような対応関係があります
低いレベル(20-175)

- 恥 (20)- 「私は存在価値がない」
- 罪悪感(30)- 「私は悪いことをした」
- 無気力(50)- 「もうどうでもいい」
- 悲しみ(75)- 「失ったものが大きすぎる」
- 恐怖 (100)- 「危険が迫っている」
- 欲望 (125)- 「もっと欲しい」
- 怒り (150)- 「これは不公平だ」
- 誇り (175)- 「私は特別だ」
高いレベル(200以上)

- 勇気(200)- 「やってみよう」
- 中立(250)- 「まあ、いいか」
- 意欲(310)- 「達成したい」
- 受容(350)- 「現実をそのまま受け入れよう」
- 愛 (500)- 「すべてが愛おしい」
受容(レベル350)は、愛への第一歩
ホーキンズ博士の意識レベルマップでは、受容(Acceptance)は350レベルに位置します。これは、前回お話しした意欲(310)からさらに一段階上がった状態です。
そして、この350レベルには特別な意味があります。
それは「愛の領域への最初の境界線」だということ。
受容を境に、私たちの意識は根本的に変わります。

「どうにかしよう」という抵抗
戦い


このままでも大丈夫
平和
戦い➔平和の大きな転換が起こるんです。
抵抗が作り出していた、見えない壁
私の友人の由香さん(仮名)は、結婚10年目。最近、夫との会話がめっきり減っていました。
朝は「行ってきます」「行ってらっしゃい」だけ。夜は黙ってスマホを見ている夫。話しかけても「うん」「ああ」の返事ばかり。
「もっと話を聞いてほしい」
「もっと私に関心を持ってほしい」
由香さんは不満が溜まっていきました。

「夫を変えなきゃ」と思って、いろいろ試しました。「ねえ、聞いてる?」と何度も確認したり、「もっとちゃんと話を聞いてよ!」と文句を言ったり。
でも、夫の態度は変わりません。むしろ、ますます黙り込むようになってしまいました。
「もう無理」が教えてくれたこと
ある日、由香さんは心底疲れて、ついにこう思いました。
「もう無理。どんなに頑張っても変わらないなら、もういい」
その瞬間、由香さんの中で何かが変わったんです。
「夫は夫のままでいい。私は私のままでいい」

「変えよう」とする力を、ふっと手放した瞬間でした。
抵抗をやめた瞬間に起こった奇跡
由香さんが「夫を変えよう」とするのをやめてから、不思議なことが起こり始めました。
まず、由香さん自身が楽になりました。夫の態度に一喜一憂することがなくなり、自然と笑顔が増えていきました。
すると、夫の方も少しずつ変わり始めたのです。
「今日、仕事どうだった?」
ある晩、夫の方から声をかけてきたんです。久しぶりに笑顔で話を聞いてくれました。

「責められない」「変えられない」という安心感が、夫の心を開いたのかもしれません。
それからは、少しずつ会話が増えていきました。一緒にテレビを見て笑ったり、休日に散歩に出かけたり。
完全に新婚の頃に戻ったわけではありませんが、以前のようなギスギスした空気は消え、お互いに居心地の良い関係になっていきました。

「抵抗をやめたら、相手も抵抗しなくなったんですね」
由香さんはそう振り返っています。
抵抗は、相手に伝わっている
ここで、とても重要なことをお話しします。
実は、あなたの抵抗は、相手に伝わっています。
言葉以上に伝わる「体のメッセージ」
心理学の研究では人と人のコミュニケーションにおいてメラビアンの法則というものが提唱されました。
対人コミュニケーションにおいて、言葉に対して声色や表情などが矛盾していた場合に、
- 言語情報:7%
- 聴覚情報(声のトーン):38%
- 視覚情報(表情・態度):55%
の割合で相手に影響を与える
つまり、93%は非言語情報。
何を言うか、より、どう言うかの方が、圧倒的に伝わるのです。
抵抗は、体に現れる
相手を「変えなければ」と思っている時、どんなに優しい言葉を使っても、

- 目が笑っていない
- 声が硬い
- 体がこわばっている
- 呼吸が浅い
- 腕を組んでいる
- 視線が冷たい
- 無意識に距離を取っている
相手は、これを言語化できないけれど、感じ取ります。
「なんか、プレッシャーを感じる」
「変えられようとしている」
「このままの自分じゃダメなんだ」
そう感じてしまう。そして、心を閉ざします。
由香さんの場合も、実は夫に対する抵抗が、言葉にしなくても伝わっていたのかもしれません。そして、由香さんが本当に受け入れた時、その変化も夫に伝わった。だから、夫も変わり始めたのです。
ミラーニューロンの働き
脳科学の発見:ミラーニューロンという神経細胞があります。
これは、相手の行動や感情を、自分の脳の中で再現する細胞。
たとえば、
- 相手が笑うと、自分も笑いたくなる
- 相手が泣くと、自分も悲しくなる
- 相手が緊張していると、自分も緊張する
これは意識的じゃない。無意識に、相手の状態をコピーしている。


あなたの在り方が、相手の状態を作る。
それくらい、私たちは影響し合っているのです。
受容すると、体も変わる
では、本当に受け入れた時、体はどう変わるのでしょうか?
実は、心が変わると、自然に体も変わるんです。
抵抗している時の体
- 呼吸が浅い
- 肩に力が入っている
- 眉間にシワが寄っている
- 顎が緊張している
- 体が固い
- 視線が厳しい
- 声が高くなる
自分では気づかないけれど、
相手には伝わっている。
受容した時の体
- 呼吸が深くなる
- 肩の力が抜ける
- 表情が柔らかくなる
- 声のトーンが温かくなる
- 体がリラックスする
- 相手の目を優しく見られる
- 自然な笑顔が出る
これも、意識してやるんじゃない。
心が変わると、自然に体が変わる。
そして、相手もそれを感じ取る。
「ああ、本当に受け入れてくれているんだ」
こちらの在り方が、相手の体の反応まで変える。
それくらい、非言語コミュニケーションは強力なんです。

受容が起こす3つの奇跡
奇跡その1:エネルギーの解放

抵抗するためには、膨大なエネルギーが必要です。「変えなければ」「何とかしなければ」という思いは、私たちの心と体を疲弊させます。
でも受容すると、そのエネルギーが解放されます。抵抗に使っていたエネルギーを、もっと建設的なことに使えるようになるんです。
奇跡その2:関係性の改善

私たちが相手を変えようとしている時、相手も無意識に抵抗します。でも、私たちが相手をそのまま受け入れると、相手も心を開きやすくなります。
「変えられる」というプレッシャーから解放された相手は、自然に本来の優しさを表現できるようになるのです。
奇跡その3:新しい解決策の発見

抵抗している時は、視野が狭くなります。「こうでなければならない」という固定観念に縛られて、他の可能性が見えなくなります。
でも受容すると、心に余裕が生まれ、これまで見えなかった解決策が見つかることがよくあります。
受容は諦めじゃない、愛の始まり
「受容って、諦めることじゃないんですか?」
でも、違うんです。
| 諦め | 受容 |
|---|---|
| 「もうどうでもいい」 投げやり エネルギーが下がる 体も心も閉じている | 「今はこうなんだ」 現実を見る エネルギーが解放される 体も心も開いている |
受容は、現実を直視する勇気です。
そして受容は「相手を変えようとするのではなく、そのまま受け入れる。」という積極的な愛の表現なんです。

今日からできる受容の練習
受容は、日常の小さな練習から身につけることができます。
練習1:天気を受容する

今日の天気を、完全に受け入れてみる。「雨だから嫌だ」ではなく「今日は雨なんだな」と。天気は受容の練習に最適な相手です。
練習2:自分の感情を受容する

怒りや悲しみを感じた時、「こんな風に感じちゃダメ」と抑圧するのではなく、「今、私は怒っているんだな」「悲しいんだな」とそのまま受け入れてみる。
練習3:相手の言動を受容する

誰かの言動にイライラした時、「この人を変えよう」とするのではなく、「この人はこういう人なんだな」と受け入れてみる。
練習4:状況を受容する

思い通りにいかない状況に遭遇した時、「何とかしなければ」と抵抗する前に、「今はこういう状況なんだな」と受け入れてみる。
受容は愛への扉
受容を身につけると、その先には「愛」の世界が待っています。
相手を変えようとする愛ではなく、そのままで愛する愛。 条件付きの愛ではなく、無条件の愛。
そんな美しい愛の世界への扉が、受容なんです。
抵抗をやめること。戦いをやめること。そのままで良いと思うこと。

それは決して諦めではなく、もっと大きな愛への第一歩なのです。
あなたの心が、もっと軽やかで、もっと平安で、もっと愛に満ちたものになりますように。そんな願いを込めて、今日のお話を終わりにします。

今週の実践:小さな受容から始めよう
この一週間で、以下のことを試してみませんか?
- 一日一つ、何かを受容してみる(天気、交通渋滞、誰かの言動など)
- 自分の完璧でない部分を受け入れる(「完璧じゃない私も、それはそれで良い」)
- 相手を変えようとするのをやめてみる(一日だけでも、誰かをそのまま受け入れてみる)
- 「〜しなければ」を「〜のままでも良い」に言い換えてみる
これらの小さな実践が、あなたの心に平安をもたらし、周りとの関係も改善してくれるでしょう。
次回予告:来週は「実践基礎編」がスタートします。第14週は「恥と罪悪感を手放す方法|反すう思考のループから抜け出す」をお届けします。さらに深い解放の体験を、一緒に探求していきましょう。
今日のあなたの存在そのものが、すでに完璧で美しいものです。そのことを忘れずに、穏やかな一週間をお過ごしください。
